大判例

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東京高等裁判所 平成7年(ネ)5139号 判決

控訴人兼附帯被控訴人(以下「控訴人」という。)

日本電信電話株式会社

右代表者代表取締役

児島仁

右訴訟代理人弁護士

安西愈

井上克樹

外井浩志

込田晶代

被控訴人兼附帯控訴人(以下「被控訴人」という。)

甲野一郎

右訴訟代理人弁護士

上田誠吉

松島暁

坂勇一郎

杉井静子

河邊雅浩

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  本件附帯控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

三  控訴人が被控訴人に対して行った平成元年一二月一九日付け譴責処分は無効であることを確認する。

四  控訴人は、被控訴人に対し、金二四万七九八三円及び内金八万三三一二円に対する平成三年一〇月九日から、内金九万〇二一二円に対する平成六年三月三〇日から、内金七万四四五九円に対する平成七年一一月二一日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

五  訴訟費用は、第一、二審とも、控訴人の負担とする。

六  この判決は、主文第四項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。

3  被控訴人は、控訴人に対し、一八万五七四三円及びこれに対する平成六年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二  当事者の主張

当事者の主張は、原判決二枚目裏八行目の「支払い」を「支払」と、同三枚目表一〇行目の「組合休暇願い」を「組合休暇願」とそれぞれ改め、同裏一行目の「装置」を削り、同四枚目表二行目の「右処分に基づき」を「かつ、」と、同六行目の「別紙」を「本判決添付別紙」と、同一〇行目の「但書」を「ただし書」と、同裏三行目の「諸般事情」を「諸般の事情」とそれぞれ改め、次の一のとおり控訴人の、同二のとおり被控訴人の各当審における主張及び相手方の主張に対する反論を付加するほかは、原判決の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これをここに引用する。

一  控訴人の当審における主張及び被控訴人の主張に対する反論

1  研修中の年休取得

(一) 被控訴人は、国家公務員及び地方公務員の例を挙げて、研修中の年休取得について、労働者の年休権の保障と研修目的の達成との調整が必要になると主張する。しかしながら、被控訴人の挙げる国家公務員及び地方公務員の例においても、研修は、当該受講を命じられた職員の能力啓発にその本旨を置くものであり、他の職員による代替の余地はないとされ、あるいは、研修の期間中にこれを休むということは全く予定されていないとされており、そもそも研修中の年休取得は予定されていないのである。そして、あらかじめカリキュラムにおいて一定期間の休暇取得を想定しているような特殊な場合をのぞき、一般には、既に組まれたカリキュラムの一部でも欠席すれば、その分の研修目的が達成されないことは、自明の理であるから、研修中の年休取得と研修目的の達成との調整を図ることは不可能である。

(二) 控訴人は、集合訓練への社員の参加を決するに当たり、あらかじめ社員に訓練中休まざるを得ない正当な事由があると認めるときは、当初から社員を訓練に参加させないこととして、休暇取得の必要性と研修目的の達成との事前調整をすることがある。

これを本件についていえば、平成元年一〇月中旬に交換課課長が被控訴人に対し本件訓練への派遣について打診したところ、被控訴人は、特段の事情の申出もせずにこれを受諾した。しかし、被控訴人は、内心においては、本件訓練のカリキュラムを見た上で、同年一一月九日の電話番号案内有料化反対のための要請行動に参加するか、訓練に参加するかを決める心づもりであったというのであり、事実、被控訴人は、その恣意的な判断に基づき、同日のカリキュラムは重要であるからとして訓練に参加したが、同月二一日のカリキュラムは重要でないからとして、同日の訓練を欠席した。

被控訴人の右のような考え方は、訓練参加者が当日のカリキュラムは重要でないと判断すれば自由に年休を取得することができるということにほかならず、研修目的の達成のために使用者が時季変更権を行使する余地を認めないというに等しいものである。

2  訓練中の年休取得事例

控訴人は、訓練中の年休取得を全く認めていないわけではなく、人道上の理由でやむを得ないと認められる場合には、訓練中の年休請求に対して時季変更権の行使を差し控えることがあるから、訓練中に年休を取得することも当然あり得る。そのため、訓練中に年休を取得した場合の事務処理要領等の書式が定められているのである。

3  本件年休請求と時季変更権の行使

社員就業規則(乙七八)第三九条は、社員からの年休請求に対する時季変更権は所属長が行使すると規定しているが、右所属長とは、社員就業規則等における所属長の範囲に関する規程(乙七八。以下「所属長規程」という。)別表一により、直属上長とされている。そして、直属上長は、所属長規程第一条第二項により、組織規程(乙九一)別表第四に定める管理組織職位にある直近の上長をいうとされており、同別表第四によれば、被控訴人の直属上長は、交換課課長ということになる。そして、所属長規程第五条第一項により、直属上長が不在のときは直属上長の直近の上長が、直近の上長が不在のときは順次その直近の上長が当該直属上長の職務を行うものとされている。

本件においては、被控訴人の直属上長である交換課課長が不在であったため、その上長である立川ネットワークセンタ所長が時季変更権を行使したものである。

4  不当労働行為

(一) 組合休暇の申請日

被控訴人は、組合休暇の申請日を平成元年一一月一七日から同月一六日に訂正することにより、控訴人の不当労働行為意思を根拠付けようと主張し、供述する。しかしながら、被控訴人は、原審において、交換課課長に対して組合休暇を申請したのは同月一七日であると供述し、また、その陳述書(甲一二)にも、そのように記載しているのであり、これを当審において改める被控訴人の右主張および供述は、事実に反する。

(二) 被控訴人に対する差別

被控訴人は、控訴人が被控訴人の周囲の社員を被控訴人から遠ざけようと画策していたと主張する。しかしながら、被控訴人が右主張の根拠として挙げる事実は、いずれも認めることができない。すなわち、渡辺義勝(以下「渡辺」という。)は、平成元年三月、立川ネットワークセンタに赴任するに際し、人事担当課長から、全電通の反主流派である被控訴人に注意するようにと言われたと供述するが、被控訴人は、既に昭和六二年に通信労組に加盟し、同年八月に同労組の東京支部執行委員に選ばれていて、平成元年三月当時は全電通の組合員ではないから、右供述は、事実に反する。また、金坂哲也(以下「金坂」という。)は、入社当時、交換課課長から全電通とは違う流れの組合に近寄ってはならない、その組合には被控訴人が入っていると言われたと陳述するが、金坂が控訴人に入社したのは昭和六一年四月であり、被控訴人が通信労組に加盟したのは、前記のとおり昭和六二年であるから、右陳述は、事実に反する。

次に、被控訴人は、控訴人が被控訴人に設計・積算の仕事をさせようとしなかったと主張し、渡辺は、被控訴人に設計・積算の仕事をさせるように交換課課長に提案したが、採用されなかったと供述するが、事実に反する。すなわち、渡辺は、交換係長であり、被控訴人は、その下の交換係の工事主任であったから、交換課課長が職務分掌を超えて他の係の設計、積算業務を被控訴人に分担させないのは、当然のことである。また、被控訴人は、交換課課長が被控訴人にスキル判定を受けさせなかったとも主張するが、スキル判定と昇格は無関係であり、殊更控訴人が被控訴人にスキル判定を受けさせない理由はなく、むしろ、被控訴人は、スキル判定を受ける前提としての研修を受けられる出勤状態になかったものである。

(三) 通信労組に対する差別

被控訴人は、差別黒書(甲一二〇)によれば、控訴人の通信労組に対する差別は、全国的規模で系統的に行われていることが明らかである、あるいは、多摩ネットワークセンタの災害・故障時等の連絡系統図(甲一一七。以下「連絡系統図」という。)に全電通の分会の連絡先を記載し、通信労組の分会の連絡先を記載しなかったこと及びその後通信労組からの通信労組の分会の連絡先をも記載するようにとの申入れを受けて全電通の分会の連絡先を連絡系統図から抹消し、通信労組の分会の連絡先を記載しなかったことを通信労組に対する差別であると主張する。しかしながら、差別黒書は、およそ裏付けのない一方的な主張を記載したにすぎないものであり、また、連絡系統図の記載の問題は、本件の被控訴人に対する時季変更権の行使があってから約五年八か月後のことであって、本件とは無関係の事柄である。

5  本件譴責処分の当否

(一) 本件譴責処分の経緯

(1) 控訴人における懲戒の種類には、懲戒解雇、諭旨解雇、出勤停止、減給、譴責がある(社員就業規則第七〇条、懲戒規程第四条)ところ、非違行為に対して公平妥当な処分を決定するため、懲戒規程の運用について(基準)(乙六八)第六条関係第一七項は、懲戒処分の量定は、故意か過失か、既遂か未遂か、手段又は行為の態様、結果、動機、非違者の年齢・在職年数・責任の程度、その他量定に必要な事項を総合的に判断し、公平に決定しなければならないと定めている。

(2) 控訴人においては、懲戒処分を行うに当たっては、懲戒審査会を開催し、その答申を受けて懲戒権者が懲戒処分を実施することとされているが、懲戒処分の量定について、右(1)の各事項について懲戒審査会において総合的に判断されるとともに、その際、過去の同様の処分事例等を参考にし、全社的に公平な量定が実施されるように配慮し、懲戒権の恣意的運用の防止を図っている。

(3) 本件の被控訴人の無断欠勤も懲戒処分の対象とされることから、立川ネットワークセンタ所長は、懲戒規程(乙六八)第六八条に従い、中央ネットワーク支社に上申した。ところで、中央学園における訓練中は、原則として、中央学園の長が所属長になり得るが、本件の場合、被控訴人は、無断欠勤をする前から被控訴人の原局である立川ネットワークセンタにおいて、組合休暇の申請及び年休の請求をめぐるやりとりをしており、しかも、立川ネットワークセンタにおいて事前に無断欠勤は懲戒処分の対象になるとの警告を発していたこともあるなど、中央学園よりも立川ネットワークセンタが被控訴人の無断欠勤に至る経緯を把握していたことから、立川ネットワークセンタ所長が事案を調査して処分調書を作成し、上申したものである。

(4) 右上申を受けた中央ネットワーク支社は、無断欠勤が一日であっても、業務命令違反等積極的に職場規律を乱すものであれば減給とされることがあるが、減給については中央ネットワーク支社長に懲戒権がないところから、さらに、ネットワーク事業本部に上申した。

(5) 右上申を受けたネットワーク事業本部は、平成元年一二月一一日、懲戒審査会を開催し、本件の無断欠勤を譴責処分相当(減給処分不相当)と判断し、本件の無断欠勤に対する懲戒処分の量定を中央ネットワーク支社に差し戻した。

(6) 右差戻しを受けた中央ネットワーク支社の懲戒審査会は、審査の結果、本件の無断欠勤は、上司の厳重な注意に反してされたものであり、被控訴人から始末書が提出されていないなど加重要素があるものの、欠勤日数が一日であり、被控訴人の日常の勤務態度に特段問題が見られないなど軽減要素もあることをも斟酌し、後述の過去の無断欠勤に対する懲戒処分例との平等取扱いの観点等を総合的に勘案し、譴責処分相当と判断した。

(二) 過去の無断欠勤に対する懲戒処分例

過去の無断欠勤に対する懲戒処分例の処分発令日、処分量定及び非違の概要は、次の通りであり、これと比較しても、本件譴責処分は相当であって、行き過ぎとはいえない。

(1) 昭和五三年六月二〇日 戒告

訓練中、一日の年休請求があったが、時季変更権を行使し、出勤を命じたにもかかわらず、これを無視し、一日の無断欠勤をした。(始末書未提出)

(2) 昭和六一年一二月一日 減給

訓練中、辞職願(会社未承認)を提出し、その直後から六日と二時間四〇分にわたり無断欠勤をした。なお、事後、抑うつ状態と診断され、入院治療を受けた。

(3) 昭和六二年一月二三日 減給

訓練中、出勤日に飲酒して三時間四五分の無断欠勤をした。なお、本人は、アルコール依存症の病歴があり、以前にも三日間の無断欠勤をし、再三にわたり厳重な注意を受けており、勤務態度も不良であった。

(4) 昭和六二年一〇月一二日 減給

訓練中、理由もなく四日間の無断欠勤をした。なお、事後、抑うつ状態と診断され、入院治療を受けた。

(5) 昭和六三年三月一日 譴責

訓練中、出勤日自宅を出たまま理由もなく一日の無断欠勤をした。

6  定期昇給減額措置の正当性

控訴人においては、懲戒処分の有無にかかわりなく、無断欠勤をした社員は、社員就業規則(乙七八)第八四条及び社員給与規則(乙六九)第三二条により、職能賃金の定期昇給額が減額される。したがって、本件譴責処分の当不当にかかわらず、被控訴人の無断欠勤についてされた職能賃金の定期昇給の四分の二の減給は、正当である。

7  不就労による賃金カット

本件の時季変更権の行使が適法である以上、被控訴人の年休取得は認められず、被控訴人が欠勤した日は、不就労というほかない。したがって、この場合、本件譴責処分の当不当にかかわらず、社員給与規則第一三条に基づいて、被控訴人の一日分の賃金カットがされるのは、当然のことである。

8  仮執行宣言に基づき支払った金員の返還及び損害賠償

(一) 控訴人は、被控訴人に対し、平成六年九月一日、仮執行宣言付きの原判決に基づき、一八万五七四三円(内訳は原判決主文第二項の元本金額一七万三五二四円に遅延損害金一万二二一九円を加えたもの。)を支払った。

(二) よって、控訴人は、被控訴人に対し、民事訴訟法第一九八条第二項に基づき、右(一)の一八万五七四三円及びこれに対する平成六年九月一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被控訴人の当審における主張及び控訴人の主張に対する反論

1  研修中の年休取得

研修中の年休取得と時季変更権の行使の関係については、年休取得は労働者の当然の権利であるが、研修中の場合、年休取得によって研修目的が達成されないことになってはならないので、年休権の保障と研修目的の達成との調整が必要となる。

このことは、国家公務員及び地方公務員の場合も、研修中の年休取得が予定されていること、そして、時季変更権の行使が許されるかどうかは、研修計画全体から見て、これを阻害すると認められるかどうかによること、すなわち、研修目的の達成との調整にあることが認められる。

研修中の年休取得についての右のような考え方は、民間企業においては、より一層当てはまる。結局、研修中の年休取得が「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、明らかに研修目的が達成されない場合と解すべきである。

2  訓練中の年休取得事例

電電公社時代の勤務票事務処理要領(甲一一三)によれば、学園集合訓練中に休暇を付与した場合の学園における処理方法等が明示されており、これは、控訴人が設立された後も変更されていない。

控訴人は、訓練中の年休取得は、人道上の理由のある場合のみ認めていると主張するが、次のとおり、訓練中に年休の請求があっても、ほとんどの場合、その理由を聞くことなく、年休取得を認めているのが実態であり、時季変更権を行使する場合は、年休取得を認めると訓練終了又は卒業と認められなくなる場合である。

過去の訓練中の年休取得事例の社員名、訓練の期間、場所及び名称、年休取得期間並びに年休取得理由は、次のとおりである。

(一) 中嶋宣雄 昭和三七年七月中旬から三月間 東京学園

C41・C51クロスバー交換機の保守作業の訓練

一日間 登山

(二) 服部信之 昭和五二年一二月ころ 駒場学園

保全課電子交換機概要班の訓練

一日間 ゴルフ

(三) 安藤文夫 昭和六三年四月七日から同月一四日まで 東京研修センター

ディジタル交換機基礎Aコース訓練

一日間 引っ越しの手伝い

(四) 細井彦男 平成五年一二月七日から同月一〇日まで

CUSTOM一般実習者研修営業四日コースの訓練

一日間 ゴルフ

(五) 竹内清文 昭和五八年八月中旬から同年一一月上旬まで

広島電気通信学園 保全補修科市内電話機械班の訓練

二日間

(六) 小池憲明 昭和五九年ころ広島電気通信学園

保全課電力班の訓練

(七) 傳野晶則 平成三年八月二七日から同年九月一三日まで

中央研修センター 共通線上級1・STPコースの訓練

(八) 大谷英郎 昭和四五年九月駒場学園

C四〇〇クロスバー交換機班一ヶ月コースの訓練

二時間 組合の選挙活動

(九) 渡辺 昭和五九年四月から同年五月にかけての約三週間 中央学園

ディジタル交換機設計班の集合訓練 二日間 風邪

3  本件年休請求と時季変更権の行使

本件年休請求に対して時季変更権を行使したのは、立川ネットワークセンタ所長であるが、同所長は、次のとおり、本件訓練中は時季変更権を行使する権限を有しないから、本件の時季変更権の行使は、違法である。

すなわち、控訴人においては、中央学園で訓練中に年休を付与した場合は、中央学園での訓練生の休暇等の付与通知を作成して、原局へ送付する扱いであり、右通知の作成者は、中央学園の訓練部長とされているから、訓練中の時季変更権者は、中央学園の訓練部長である。

仮に訓練中の時季変更権者が中央学園の訓練部長でないとしても、少なくとも時季変更権を行使すべきか否かの判断は、中央学園がすべきである。

4  不当労働行為

(一) 組合休暇の申請日

被控訴人は、従前、組合休暇の申請日を平成元年一一月一七日であると主張してきたが、これは、同年一二月一一日、組合休暇の申請日を同年一一月一六日であると記載した「一九八九年十一月二十一日の年休申請について」と題する書面(甲一一六)を立川ネットワークセンタ所長に提出した後、同所長から組合休暇の申請日を同月一六日から同月一七日に訂正するよう執拗に求められ、錯誤に陥って、組合休暇の申請日を同日と勘違いしたためである。

被控訴人は、平成元年一一月一六日(木曜日)に中央学園から立川ネットワークセンタの交換課課長に電話をして、同月二一日に組合休暇を取る旨口頭で申請した。これに対し、交換課課長は、訓練中の組合休暇の申請であることを何ら問題とせず、同月一八日(土曜日)に事務手続を取るように指示した。また、被控訴人は、同月一七日(金曜日)、中央学園の担任教官に同月二一日に組合休暇を取る旨を伝えたが、担任教官は、職場に連絡するように指示した。このように、交換課課長も担任教官も、被控訴人が同月二一日に組合休暇を取ることを何ら問題視していなかったのである。しかるに、後日、立川ネットワークセンタ所長が組合休暇を認めないとし、さらに、年休請求に対して時季変更権を行使したのは、通信労組員であることを理由とした被控訴人に対する差別的取扱いにほかならない。

(二) 被控訴人に対する差別

控訴人は、次のとおり、被控訴人の周囲の社員を被控訴人から遠ざけようと画策していた。すなわち、渡辺は、平成元年三月、立川ネットワークセンタに赴任するに際し、人事担当課長から、全電通の反主流派である被控訴人に注意するようにと言われ、また、金坂は、入社するに際し、被控訴人が所属する組合の流れに近寄ってはいけないと言われ、さらに、被控訴人と昼休みにキャッチボールをしていると、管理職から、被控訴人とキャッチボールをするなと言われた。

また、控訴人は、等しく社員の技術向上を図るべきであるにもかかわらず、被控訴人に設計・積算の仕事をさせないようにしたり、被控訴人が希望するスキル判定を受けさせなかった。

(三) 通信労組に対する差別

通信労組は、全国での通信労組に対する差別事例を集め、差別黒書(甲一二〇)としてまとめているが、これによれば、控訴人が通信労組に対して全国的規模で系統的に差別していることが明らかである。

通信労組に対する差別の具体例としては、控訴人側が通信労組浜松分会の新入組合員に対し会社をやめてもらうと発言したこと、平成六年三月、控訴人労務担当者が通信労組が設置した国民春闘立て看板を深夜破壊したこと、平成七年七月初め、控訴人は、連絡系統図(甲一一七)に全電通多摩NWC分会の連絡先のみを記載し、通信労組立川分会の連絡先を記載せず、通信労組から通信労組立川分会の連絡先を記載するように申入れを受けるや、通信労組立川分会の連絡先を記載しないために全電通多摩NWC分会の連絡先の記載を削除したこと、被控訴人らが通信労組のビラを配布している際、控訴人管理職らがビラをごみ箱に捨てるよう無言の圧力をかけていたこと等が挙げられる。

5  本件譴責処分の当否

控訴人は、本件譴責処分をするに当たり、懲戒事由の有無に関する検討を全く行わず、杜撰な審査をした。

また、懲戒規程(乙六八)第三条によれば、懲戒権者は、社長及び同規程第五条の規定により懲戒権の委任を受けた者であり、同規程第五条第一項によれば、事業本部長は、譴責処分をする権限の委任を受けているところ、本件譴責処分をしたのは、ネットワーク支社長である。控訴人は、譴責処分をする権限が事業本部長からネットワーク支社長に再委任されている(同規程第五条第二項)と主張するが、右再委任の手続がとられた事実が認められる証拠はなく、本件譴責処分は、手続上の要件を満たしていない。

さらに、学園訓練中に訓練生が非違行為をしたときは、学園の長が非違行為の調査及び処分の上申をすることとされているにもかかわらず、本件では、中央学園長ではなく、立川ネットワークセンタ所長が被控訴人の調査及び処分の上申をしたが、これは、被控訴人の年休取得に問題点を感じていなかった中央学園側を差し置いて、立川ネットワークセンタ所長が本件譴責処分を強行したということができるものである。

6  仮執行宣言に基づき支払った金員の返還及び損害賠償

控訴人の当審における主張及び被控訴人の主張に対する反論8(一)の事実は、認める。

第三  証拠

本件記録中の書証目録及び証人等目録に記載のとおりであるから、これをここに引用する。

理由

一  本件譴責処分の経緯

本件譴責処分の経緯についての当裁判所の認定は、次のとおり訂正、付加又は削除するほかは、原判決一二枚目表八行目から同一八枚目裏八行目までに記載のとおりであるから、これをここに引用する。

1  原判決一二枚目裏三行目の「結果」の次に「(原審)」を加える。

2  原判決一四枚目裏五行目の「保証」を「保障」と改める。

3  原判決一六枚目表六行目から同八行目までを

「連結成大会に通信労組からの同大会の代議員及び傍聴者合計八名のうち、被控訴人を傍聴者として参加させることを決定した。これを受けて、被控訴人は、同月一六日午前中に中央学園から立川ネットワークセンタの金子課長に電話をし、同月二一日に組合休暇を取らせてもらいたい旨申し出たところ、金子課長は、これを一応了解し、同月一八日に組合休暇の申請の事務手続を取るように指示した。そこで、被控訴人は、同月一六日夜に開催された通信労組東京支部執行委員会において、同月二一日に組合休暇を取ることの申請をして了解を受けたので、全労連結成大会に参加することが可能となったことを報告した。次いで、被控訴人は、同月一七日、中央学園の本件訓練の担任教官である浜田教官(以下「浜田教官」という。)に対し、同月二一日に組合休暇を取る旨を報告したところ、浜田教官は、原局に連絡するように指示するとともに、中央学園においては組合休暇の取得につき別段の処理はないと答えた(以上、甲一二、八二の9、一一五の二、一一六、一二一、被控訴人供述、被控訴人本人尋問の結果(当審))。」

と、同一一行目の「宛て」を「あて」とそれぞれ改め、同裏一行目の「組合休暇願」の次に「(組合休暇の承認権者は、被控訴人の場合、立川ネットワークセンタ所長であった。)」を加え、同三行目の「宛て」を「あて」と、同七行目の「であった(甲九」を「であり、被控訴人が受けた後者の講義においては、共通線信号方式及び共通線信号処理とそれぞれ題する二冊の教科書を使って講義が行われた(甲九、二三、二四の1、2」とそれぞれ改め、同八行目の「原告は」の次に「、同月二〇日」を加え、同行目の「(以下「浜田教官」という。)宛て」を「あて」と改める。

4  原判決一七枚目表一行目の「いう」を「いう、被控訴人供述」と、同裏六行目の「言われた」を「告げた」と、同九行目から同一一行目までを

「になった。被控訴人は、右同日の訓練は欠席したものの、本件訓練は終了したものとされ、本件訓練中の各科目の成績は、おおむね普通以上であった。

その後、被控訴人は、中嶋所長の求めにより、同年一二月一一日、通信労組とも相談の上、「一九八九年十一月二十一日の年休申請について」と題する書面を控訴人に提出した。被控訴人は、右書面において、当初、組合休暇を申請した日を同年一一月一六日と記載していたが、提出の際に中嶋所長から同月一七日の記憶違いではないかと指摘されて、よく確認しないまま、言われたとおりに組合休暇を申請した日を右同日と訂正した(以上、甲七、一二、二一、九二の1ないし3、一一五の2、一一六、乙三一、浜田証言、被控訴人供述、被控訴人本人尋問の結果(当審)。」

とそれぞれ改める。

5  原判決一八枚目表九行目の「譴責処分」を「本件譴責処分」と、同裏六行目の「支払い」を「支払」とそれぞれ改める。

二  争点に対する判断

1  本件譴責処分無効確認の利益について

本件譴責処分無効確認の利益についての当裁判所の判断は、原判決一九枚目表六行目の「被告」を「控訴人の」と、同裏六行目、同七行目及び同八行目の各「譴責処分」をいずれも「本件譴責処分」とそれぞれ改めるほかは、原判決一八枚目裏一一行目から同一九枚目裏九行目までに記載のとおりであるから、これをここに引用する。

2  時季変更権行使の適法性

時季変更権行使の適法性についての当裁判所の判断は、原判決二〇枚目二行目の「但書」を「ただし書」と、同二一枚目裏五行目の「というよりも」を「のみならず」とそれぞ改め、同二二枚目表六行目の次に次のとおり加えるほかは、原判決一九枚目裏一一行目から同二二枚目表六行目までに記載のとおりであるから、これをここに引用する。

「(3) 以上のとおり、急速な技術革新を遂げつつある電気通信の分野の事業を営む控訴人にとって、その職員に対し、普段から技術革新に即応した高度の知識を習得させ、その技能の向上を図ることは、控訴人の事業の遂行上不可欠であるから、そのための具体的な方法として、当該職員の勤務する職場内において、又は中央学園のような研修専門機関において実施する研修・訓練等(以下、これらを総称して「訓練」という。)は、控訴人の事業の遂行上必要な業務であるということができる。したがって、控訴人の各事業場が所属職員を訓練に参加させることは、当該事業場における業務であるということができ、また、訓練への参加は、直接的には参加を指名された当該職員の知識及び技能の増進、向上を目的とするものであるから、当該職員が自ら訓練に参加することに意義があり、訓練への参加の一部を他の職員をもって代替することは、訓練の趣旨に反することになり、許されず、その意味において、訓練への参加は、非代替的な業務であるということができる。

そこで、訓練中の年休取得の可否について検討するに、右に説示したとおり、訓練への参加は、非代替的な業務ではあるが、このことから、直ちに、当該訓練への参加を命じられた職員が訓練中に年休を取得することがおよそ許されないと解するのは、相当ではない。けだし、年休取得により訓練の一部を欠席したとしても、当該訓練の目的及び内容、欠席した訓練の内容とこれを補う手段の有無、当該職員の知識及び技能の程度等によっては、他の手段によって欠席した訓練の内容を補い、当該訓練の所期の目的を達成することのできる場合もあるものと考えられるからである。したがって、訓練中の年休取得の可否は、当該訓練の目的、内容、期間及び日程と、年休を取得しようとする当該職員の知識及び技能の程度、取得しようとする年休の時期及び期間のほか、年休取得により欠席することになる訓練の内容とこれを補う手段の有無等の諸般の事情等を総合的に比較考量して、年休取得が当該訓練の所期の目的の達成を困難ならしめるか否かの観点から判断すべきである。例えば、極めて短期間で密度の濃い内容の訓練の場合には、年休取得の理由のいかんを問わず、短時間であろうとも訓練を欠席すれば、訓練の目的は達成されず、その結果訓練終了(卒業)の判定を受けることができないことが多いであろうが、他方、相当程度の期間が予定されている訓練の場合には、試験や実習などのようにどうしてもその時間に参加しなければならない訓練以外の訓練については、これを欠席したとしても、当該職員の有する知識・技能の程度あるいは欠席した訓練の内容を補う手段の有無等によっては訓練の目的を達成することができ、訓練終了(卒業)の判定を受けることが可能なこともあるものといえよう。

そうすると、年休の取得は、労働基準法により保障された労働者の基本的な権利の一つであるから、訓練中はおよそ年休の取得が許されないとするのは相当ではなく、訓練中の年休請求については、前掲の諸般の事情を総合的に比較考量して判断した結果、請求された時季に年休を付与することが当該訓練の目的の達成を困難にすると認められる場合に初めて、使用者は、時季変更権を行使することができるものと解すべきである。

なお、控訴人は、訓練中の年休請求については、人道上の理由がある場合には時季変更権の行使を差し控えることがあると主張するが、労働者は、年休取得の理由を明らかにしないで年休の請求をすることができるのであるから、訓練中の年休請求に対して時季変更権を行使すべきかどうかは、年休取得の理由を考慮して決すべきものではなく、年休取得が訓練の目的の達成を困難にするかどうかの観点から決すべきものであり、控訴人の右主張は、採用することができない。

(4) ところで、証拠(甲一〇〇ないし一〇四、一〇八、一〇九、一一四、一二一、一二二、一二四、一三四、乙八九、証人中嶋宣雄の証言、同服部信之の証言、同安藤文夫の証言、岩崎証言、証人渡辺義勝の証人、被控訴人本人尋問の結果(当審))によれば、控訴人におけるこれまでの訓練中の年休取得の主な事例の社員名、訓練の期間、場所及び名称、年休取得期間並びに年休取得理由は、次のアないしサのとおりであること、またクの渡辺の年休取得例をみると、同人は、風邪のため二日間年休を取り、体調が回復しないことから三日目も年休を取ろうとしたところ、担任教官から二日間を超えて年休を取ると卒業できなくなると言われて、風邪を押して訓練に参加したことが認められる。これによれば、控訴人においても、訓練中の年休取得は、控訴人主張の人道上の理由に限られ、それ以外の理由ではおよそ認めないというものではなく、訓練の期間にもよるが、おおむね一日程度の年休の請求であれば、年休取得により訓練の目的が達成されなくなるとは判断されず、時季変更権が行使されることなく、請求どおり年休が付与されていたことが認められる。

ア  中嶋宣雄 昭和三七年七月中旬から三月間 東京学園

C41・C51クロスバー交換機の保守作業の訓練

一日 登山

イ  大谷英郎 昭和四二年八月二九日から同年一〇月二六日まで

駒場学園 クロスバーC四〇〇形班の訓練

二時間 組合の選挙活動

ウ  森西武志 昭和五一年ころ 鴨野局訓練センター

PCM二四B訓練三日間コース

二日間 風邪

エ  服部信之 昭和五二年一二月ころ 駒場学園

保全課電子交換機概要班の訓練

一日間 ゴルフ

オ  石川秀市 昭和五五年 鈴鹿学園

無線主任班一か月訓練

一日間 親族の葬儀

カ  竹内清文 昭和五八年八月中旬から同年一一月上旬まで

広島電気通信学園 保全補修科市内電話機械班の訓練

二日間 所用

キ  小池憲明 昭和五九年ころ 広島電気通信学園

保全課電力班の訓練

一日間 頭痛

ク  渡辺 昭和五九年四月から同年五月にかけての約三週間

中央学園 ディジタル交換機設計班の集合訓練

二日間 風邪

ケ  安藤文夫 昭和六三年四月七日から同月一四日まで

東京研修センター ディジタル交換機基礎Aコース訓練

一日間 引っ越しの手伝い

コ  傳野晶則 平成三年八月二七日から同年九月一三日まで

中央研修センター 共通線上級1・STPコースの訓練

一日間 所用

サ  細井彦男 平成五年一二月七日から同月一〇日まで

CUSTOM一般実習者研修営業四日コースの訓練

一日間 ゴルフ

さらに、証拠(甲一一三)によれば、控訴人の電電公社時代の昭和五七年四月現在の勤務票事務処理要領(甲一一三)は、学園集合訓練中の訓練生の勤務票の取扱いを定め、その中で、訓練中に休暇等(有給休暇、無給休暇、遅刻、早退、欠務)を付与した場合は、訓練終了時又は毎月末において、訓練生の休暇等付与通知を作成し、これを当該訓練生の原局に送付することとし、この取扱いは、控訴人が設立されてからも変更されていないことが認められる。これによれば、訓練中であっても、年休の取得が予定されており、しかも、その付与の決定は、学園が行い、事後的に訓練生の原局にその結果を通知する取扱いであることが認められる。

(5)  以上によれば、被控訴人本件訓練に参加中であったからといって、その年休取得が直ちに時季変更権行使の要件である「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するということはできず、被控訴人の本件訓練参加中の年休取得が右「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するかどうかは、前示のとおり、本件訓練の目的、内容、期間及び日程、年休を取得しようとする被控訴人の知識及び技能の程度、取得しようとする年休の時期及び期間のほか、年休取得によって欠席することになる訓練の内容とこれを補う手段の有無等を総合的に比較考量して、被控訴人が年休を請求した平成元年一一月二一日に年休を与えることが本件訓練の目的の達成を困難にするかどうかの観点から、判断すべきである。

そして、右の観点から本件における控訴人の時季変更権行使の適否について検討すると、なるほど、前示のとおり、控訴人においては、技術革新に即応した高度の知識、技能を有する職員を養成することが急務であったことは十分理解することができるが、前記認定の本件訓練の目的、内容、期間等、被控訴人の職歴、職務内容等のほか、被控訴人の請求した年休は一日間のみであり、その年休取得を認めた場合、被控訴人は、本件訓練中に予定されていた六時限の共通線信号処理に関する講義のうち、平成元年一一月二一日に予定されていた四時限の講義は欠席することになるが、これに続く翌二二日に予定されていた二時限の講義には参加し、一部であるとはいえ右共通線信号処理に関する講義に参加することのほか、右講義については前記のとおり教科書が存すること、それに、被控訴人の前記職歴及び職務内容(被控訴人の所属する交換課は、共通線信号処理にかかわる業務も担当していた。)に伴う知識、経験を考慮すれば、被控訴人の努力により右欠席した四時限の講義内容を補うことは十分に可能であると認められ、また、現に、被控訴人は、おおむね普通以上の評価をもって本件訓練を終了(卒業)しているのであるから、本件訓練において被控訴人が同月二一日の一日間の年休を取得することが被控訴人について本件訓練の目的の達成を困難にするとまで認めることは困難である。したがって、被控訴人が右同日に一日間の年休を取得することは、控訴人の「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとはいえず、控訴人が被控訴人に対してした本件の時季変更権の行使は、労働基準法三九条四項ただし書の要件を欠く違法なものであるといわざるを得ない。

なお、前示のとおり、控訴人においては、訓練中の年休請求に対し、これを付与するかどうかの判断は、学園が行い、事後的にその結果を原局に通知する取扱いとされているが、このことは、訓練中の年休取得が訓練の目的の達成を困難ならしめるかどうかの判断は、訓練を実施し、訓練の内容及びカリキュラムを具体的に把握している学園において最も良くなし得るとの考慮に基づくものと解される。したがって、本件について立川ネットワークセンタ所長が時季変更権を行使したのは、右の取扱いを逸脱し、右のような考慮を無にするものといえよう。そして、前記認定の経緯によれば、立川ネットワークセンタ所長は、右時季変更権を行使するに当たり、被控訴人が年休を取得することにより欠席することになる本件訓練の具体的内容を検討した形跡はみられない。

3 そうすると、被控訴人の年休請求に対して控訴人のした時季変更権の行使は、違法であるといわざるを得ないから、その余の点につき判断するまでもなく、被控訴人の平成元年一一月二一日の本件訓練の欠席は、無断欠席であるということはできない。したがって、右欠席が無断欠席であることを理由としてされた被控訴人に対する本件譴責処分、職能賃金の定期昇給の四分の二の減給及び一日分の賃金カットは、いずれも無効である。そして、前示のとおり、被控訴人に対する右減給額及びカット額の内訳及び合計額が別紙のとおりであることは、当事者間に争いがない。

以上によれば、被控訴人の本件請求は、その余の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がある。」

三  よって、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、本件附帯控訴は理由があるから、これに基づき原判決を変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第八九条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条第一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石井健吾 裁判官 吉戒修一 裁判官 大工強)

別紙賃金表〈省略〉

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